質量分析イメージング(MSI)を用いた酵素活性可視化分析の紹介
概要
今回は、質量分析イメージング(MSI) を用いた酵素活性可視化分析を紹介いたします。
質量分析イメージングは分子の種類や場所を直接分析できる技術です。近年これを利用して組織切片上の酵素活性を可視化する技術が開発され、応用分野が広がりつつあります。
質量分析イメージングを利用した酵素活性可視化の原理
質量分析イメージングでは、組織切片上に特定の分子がどのように分布しているかを可視化します。生物組織の切片上には代謝物分子だけではなく、様々な酵素も同時に存在します。
そのため、酵素反応の基質となる化合物を均一に供給すると、切片上の各部分の酵素活性に応じて反応が進み、反応生成化合物の質量分析イメージング画像を得ることができます。
反応後の基質と生成物のデータをソフトウェア上で計算すると、酵素活性のマップを得ることができます。
質量分析イメージングを利用した酵素活性可視化の利用例
実際の利用例を見てみましょう。図2は、マウス脳の全身切片上のコリンエステラーゼの活性を可視化した例です。
基質アセチルコリンが酵素によってコリンに変換される反応を切片上で行わせますが、このとき脳にもともと存在するアセチルコリンと区別ができるよう、安定同位体でラベル化したアセチルコリンを基質として使用します。
基質と反応性生物の質量分析イメージング画像を取得し、画像処理を行うことでコリンエステラーゼの活性をマッピングすることができました。線条体、海馬や視床下部で酵素活性が高いことが一目でわかります。
このようなデータと従来の質量分析イメージングや免疫染色など他の技術を組み合わせることによって、より深い生命現象の理解への道が拓けます。
まとめ
今回は、質量分析イメージング(MSI) を用いた酵素活性可視化分析について紹介いたしました。
弊社では直接分析だけではなく、このような応用分析技術もご提供することができます。ご興味のある方は是非お問合せ下さい。